旅のhiccup (ヒコップ)

大ごとではなくすぐに修正できるようなちょっとした問題を英語で “hiccup(しゃっくり)” と表現する。人生にはそこここに hiccup が散りばめられている。何事もスムーズに運びすぎるより多少の hiccup があった方が断然楽しく思い出深いものになる。

note(「グリーンカード保持者の皆さんにお勧めしたい入国時に持参するお守りフォルダー」)にも書いたとおり帰国居住者ビザ(Returning Resident (SB-1) Immigrant Visa)で無事に入国し、アメリカはダラスにある夫の実家に来ている。まだ折り返し時点にも達していない今回の旅だが既に笑える hiccup話がチラホラ。

出発前日、オンラインでフライトのチェックインを済ませてしまおうとパソコンで作業をしていたら、チケット購入時よりも空席が増えているのに気づいた。一番後ろの通路席が空いていたので「ラッキー!」と座席を変更した。これでマメに席を立ってストレッチできるしトイレも近い。

当日。搭乗し座席に向かうとそこには先客がいた。離陸直後に振る舞われるおつまみナッツの小袋がたくさん入った大きなコンテナさん。
“Ah, excuse me, refreshments are sitting on my seat. (あの、すみません、おやつが私の席に座ってるんですが)”
とすぐそこに立っているクルーに声をかけると彼女は奥側の通路にいる別のクルーに
「ここ、彼女の席だからどかさないと」
ここまでは、あり得る。ちょっとビックリだけど、まぁ、(米系航空会社なら)あり得る。しかし話しかけられた方のクルーの返事は、違った。
(お父さんが娘に指示するような口調で)”Why don’t you go to, um, A-23. (えーと、A-23だな)”
手に持ったデバイス(たぶん空席が見られるようになっている?)を見ながら前方の席を指差しそこに行けと。ひょえー、ピーナッツじゃなくて客を動かすん!?しかもAって窓側じゃん?せめて通路側ならわからなくもないんだけど、これっておかしくない?想定外の展開で咄嗟に「隣に人がいない通路席」というピーナッツ席を選んだ理由と希望が口から出て来ず、
“Is there anyone sittign next to me? I go to the toilet often. (隣に誰かいる?私よくトイレに行くので)”
が精一杯だった。結局、
“That’s OK. There are toilets up there too. (トイレは前方にもあるから大丈夫)”
という全く意図を汲んでもらえない意味不明な返事に追いやられてA-23に向かってしまった。きちんと反論できなかった私の敗北だ…。まだ東京だけど機内はアメリカのようなもの。日本のカスタマーサービスを期待してはいけない。しかし、だ。だったらあの席はブロックして選択できないようにしておいてもらいたかったわ。

離陸直後に振る舞われたおつまみは敗北の味だったが、食べ終える頃には能天気な私の気持ちは「どの映画を観ようかな?」と、もう機内エンターテイメントに移行していた。窓から見える景色は美しかったし(こうして読者のあなたに写真をシェアできているし)、席を外す時にC-23の座席に座っている方に動いてもらわなくてはならなかったのも一回で済んだから、この件は旅の hiccup 登録その1、としよう。

ダラスに到着し、帰国居住者ビザでの入国が無事に済んでひと安心。けれど夫の実家に着くまでにもうひとつがんばることがあった。今回初めて Uber を使って夫の実家まで行くという私にとってはハードル高めのミッションだ。気分はまさに「はじめてのおつかい」!ニューヨークにいた頃はイエローキャブが便利で空港に幾つも待機しているので列に並べばいいだけだった。けれどもここはノー・ニューヨーク。今のダラスでは Uber の方が断然便利だそうで、日本にいるうちに夫に設定してもらって使い方も教わってきた。「はじめてのおつかい」に出てくる子供が「ボク、できるもん」と独り言を言うようにアプリを開いて車を呼び寄せようとする。ところが、ここで第2のhiccup が。日本で登録してきたはずの電話番号もクレジットカードも、何故か上手く機能しない(ちーん…)。アメリカの電話番号にアメリカのカードなんですけどね…。運よく最強のカスタマーサービス兼専属ITの夫(in Japan)が起きていてくれたので早速ヘルプの要請をする。「はじめてのおつかい」でも途中で助けてくれる近所のおじさんがいるものね。”Ride App” と書かれたサインがある Uber のピックアップ場所にたたずむこと約20分。その間、多分同じアプリを使いこなしているんであろう他の乗客が次々と車に乗り込んでいった。最終的に義母の電話番号を登録しなんとか車を呼ぶことができた。スタンバイありがとう、ハニー!ようやく夫の実家に到着し義母にハグするシーンはまさに「はじめてのおつかい」から戻ってきた子供が
「おかあしゃーん」
て母親に抱きつくあれと一緒だ!日本の旦那さんに到着の連絡を入れて
「海外旅行先で現地の電話番号がない旅行者はUber使えないのかね?」
という疑問を語りつつ、hiccup 登録その2をもって往路は終了。

到着した翌日は Lunar New Year(旧正月)でお義母さんが用意してくれた正月料理をたらふく頂いた。「はじめてのおつかい」もしたし、お義母さんの美味しいお料理もいっぱい頂けるし、ボーイズ(夫と息子)よ、心も体も大きくなって戻るからね、笑。復路の hiccup に備えて滞在を楽しもうっと。                                                                                                


今回の旅には Mobile WiFi をレンタルしてきました。プリペイドSIMと迷ったのですが、こういうガジェット系オンチの私にはピッタリ!着陸の瞬間から快適なモバイル生活を送っております。

Meg Y

静岡県焼津市出身・在住。大学時代に1年間休学しアメリカでインターンシップを経験。素晴らしいホストファミリーに恵まれ、いつかまたアメリカに渡ろうと心に誓う。大学卒業後日本で米企業に就職するが4年後にタイミングが訪れ再度渡米、ニューヨークでミュージックビジネスの学位と修士を取得する。家族には2年で戻ると言って出発したにも関わらず結局15年をニューヨークで過ごす。レコード会社、有名ブランド、金融機関勤務を経て2015年にアメリカ人の夫・当時1歳の息子と共に日本に帰国。久々の日本生活、初めての専業主婦業、そして日本語がわからない夫。ドタバタの帰国生活が始まった。

After studying and working in New York City, Meg Y returned to her home town Yaizu with her American husband and son. As a dedicated mother with business and music backgrounds, she writes about her life, experiences, memories - from small daily things to bigger, deeper thoughts.

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